DPI と PPI ── 何が違い、なぜ混乱するのか
— 印刷とスクリーン、それぞれの「密度」の正体
Photoshopを開くと「解像度:72 DPI」と表示されている。 印刷所からは「300 DPI以上で入稿してください」と言われる。 でも、そもそも DPIって何を意味しているのでしょうか?
この章では、混同されがちな DPI と PPI の違いを丁寧に解きほぐし、 「どの場面でどちらを意識すべきか」を明確にします。
PPI とは:スクリーンの「密度」
PPI(Pixels Per Inch) は、1インチの中にピクセルがいくつ並んでいるかを示す数値です。 モニターやスマートフォンの画面品質を語るときに使われます。
たとえばAppleのRetinaディスプレイは200〜460 PPI程度あり、 ピクセルが非常に密に並んでいるため、人間の目ではドットの粒が見えません。 一方、古いモニターは72〜96 PPI程度で、拡大するとドットが見えることがあります。
PPI の違いイメージ(同じ1インチの幅)
低 PPI(72 ppi)
粗く見える
高 PPI(300 ppi)
滑らかに見える
DPI とは:印刷の「密度」
DPI(Dots Per Inch) は、プリンターが1インチの中に打てるインクのドット数です。 これは プリンター側の能力 を示す数値であり、画像データそのものの属性ではありません。
プリンターは1つのピクセルを表現するために、複数色の細かいインクドットを組み合わせます。 ドットが密であるほど、色の再現性が高く、エッジがシャープに仕上がります。
PPI
Pixels Per Inch
- 画像・モニターの概念
- ピクセルという光の点
- スクリーン表示に関係
- カメラ・編集ソフトの文脈
DPI
Dots Per Inch
- プリンターの概念
- インクドットという物理の点
- 印刷出力に関係
- 印刷所・プリンターの文脈
Key Insight
なぜ混乱するのか? ── ソフトウェアが「DPI」と表示していても、実はPPIのことが多い
PhotoshopやLightroomで「解像度 72 DPI」と表示されるとき、
これは厳密にはPPIの値です。業界慣習としてDPIとPPIが混用されてきた歴史があり、
ソフトウェアもその慣習に従っています。
概念を理解する上では「スクリーン=PPI、印刷=DPI」と覚えておけば十分です。
「Web用は72 DPI」という誤解
「Web用の画像は72 DPIにしなければならない」という話を聞いたことがあるかもしれません。 これは 半分正しく、半分は誤解です。
ブラウザが画像を表示するとき、参照するのは ピクセル数だけ です。 画像ファイルに埋め込まれたDPI/PPI情報は、Web表示においてはほぼ無視されます。
⚠️ よくある誤解
「Webにアップしたら画像がぼやけた。DPIを72に変えたからだ」
→ 実際の原因はピクセル数を下げたことです。 DPI値を変えるだけでは画質は変わりません。 Web表示では ピクセル数こそが画質を決める唯一の要素 です。
「Web用は72 DPI」という慣習が生まれた背景には、 かつてのMacintoshモニターが72 PPIだったという歴史があります。 現代のモニターは96〜200+ PPIが当たり前になっており、 この数値に縛られる必要はありません。
用途別・推奨解像度の目安
では実際の現場では、どの数値を基準にすれば良いのでしょうか。 用途ごとの目安をまとめました。
※ 大判印刷のDPIが低い理由は、鑑賞距離が遠いため。人間の目は一定距離以上では細かいドットを識別できません。
Chapter 02 まとめ
- PPI = スクリーンの密度(ピクセル/光)
- DPI = 印刷の密度(インクドット/物理)
- ソフトウェアはDPIとPPIを混用していることが多い
- Web表示ではDPI値は無関係。ピクセル数だけが画質を決める
- 印刷の標準は 300 DPI。大判展示は 100〜150 DPI で十分


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